最初の方で、雅子さまのまとめ髪を拝見して「軽やかな気分になった」と書いた。「雅子さまの今」が表れている。勝手ながら、そのように感じたのだ。

 那須塩原駅での雅子さまと愛子さまを拝見し、美智子さまのヘアスタイルと重なった。そして3人のお団子ヘアのまとめ位置が、美智子さま、雅子さま、愛子さまの順に、徐々に高くなっていると気づいた。

 昭和1桁に生まれ、平成という時代を上皇さま(85)と歩まれた美智子さまのトラディショナルなお団子。平成に生まれ、令和になった年に「高校生最後の夏」を謳歌する愛子さま。お二人をつなぐ世代の雅子さま。

 それはつまり、美智子さまから受け継ぐ皇室の「伝統」と、娘が取り入れている「今」。その両方を取り入れながら、皇后としての道を歩み始めるということだ。伝統に縛られ過ぎず、今におもねり過ぎず。

 少しずつ自分らしい道を歩き始めた雅子さまを表すのが、真ん中にあるお団子。髪形だけではない。公務の進め方や国民との向き合い方、いろいろなことをそんなふうに作っていく。そして、その先にあるのが、雅子さまらしい皇后像──。

「お団子」から、そんな深読みをした。雅子さまに限らず、ヘアスタイルは人生を反映すると思うから。

 外務省時代の雅子さまは、ショートヘアが基本だった。手間のかからない長さが、忙しく仕事をする身には一番。そんな働く女性として、至極妥当な判断からだったと思う。

 1993年にご成婚。しばらくは、肩あたりの長さだった。ティアラをつけ、帽子をかぶる。皇太子妃ならではの場面にふさわしい長さだったろうと想像する。

 2001年、愛子さまがお生まれになった頃は、さっぱりとしたショートヘアに。小さな愛子さまを抱っこする雅子さまの短い髪の毛は、まさに「子育てモード」。張り切るママの顔が、とても明るかった。

 だが03年末から雅子さまは公務を休まれる。「適応障害」という病名が発表されたのが04年で、雅子さまの姿を見る機会がすっかり減ってしまった。

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