だが、愛子さまと一緒の場面は例外だった。06年、愛子さまが学習院幼稚園に入園された時の雅子さまはまだ短めの髪だったが、卒園の時はロングヘアになっていた。入園式の愛子さまが長めの三つ編みだったから、長い髪が好きな愛子さまに合わせることにしたのかもしれない。以後、雅子さまと愛子さまは前髪を上げ、長い髪を下ろすスタイルが定番になった。

 小学生になった愛子さまが不登校になった時は、雅子さまが付き添った。お二人はそっくりのロングヘア。雅子さまが好調だと愛子さまも好調、愛子さまが不調になると雅子さまも不調だとして、「一卵性母娘」などという表現がメディアに飛び交った時期もあった。

 17年に代替わりが決まってから、雅子さまの調子は上がっていった。◯◯年ぶりという公務を次々とこなす姿に「この調子でがんばって」と失礼ながら応援した私だったが、帽子をかぶり髪をアップにする姿を拝見しても、ヘアスタイルに思いを致すまでにはいかなかった。

 令和になってからの雅子さまのめざましいご活躍は、改めて書くまでもないだろう。トランプ大統領をはじめ、各国首脳を迎えての堂々たる態度。ロングヘアをアップにするのが常だったが、公式な場だけに「お団子ヘア」ととらえることはなく、気品あふれる様子への感動が先立った。

 地方での泊まりがけの公務、単独での公務。皇后としてお忙しい日々を過ごす雅子さまに訪れた夏休み。それが8月19日からの那須御用邸での静養だった。そこでのリラックスした様子がテレビに映り、気づいたのがお団子ヘア。失礼を承知で書くならば、こちらも雅子さまを見る目に余裕ができたということだろう。そしてもう一つ、気づいたことがあった。

 それは、雅子さまの声の高さ。雅子さまは高い声なのだ、と気づいた。

 駅頭の映像後、御用邸で記者とやりとりするご一家の姿が映った。取材時間を作ったのだろう。愛犬「由莉」も一緒だった。

「こちらはやはり涼しいですね」という記者の問いかけに、「そうですね」と答える陛下と雅子さまの声が重なった。続いての「風が気持ちいいですね」という声は、雅子さまだけのものだった。思いのほか高く、とても明るく聞こえた。

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