「日本のアニメには友情、連帯、家族愛、自然を大切にする心など、キューバに共通する価値観を見いだすことができます」

 そう話すのは、動物病院で働きながら、獣医学の博士号を目指す学生のリサンドラ・ロドリゲスさん(21)。子どものころ、しゃべると家族との愛情を描いた「みかん絵日記」が大好きだった。「犬夜叉」で友人同士の助け合いに心を揺さぶられ、「Angel Beats!」で愛を伝える大切さを学んだ。

 前出のエンリケさんは、日本アニメの魅力についてこう話す。

「日本のアニメには社会の倫理をテーマにした作品も多く、親や先輩を敬う文化が感じられる。キューバ社会はやや自己中心的になりつつあるので考えさせられます」

 古きよきキューバの価値観を、日本のアニメのなかに見いだしているのだ。(ライター・斉藤真紀子)

AERA 2019年9月16日号