【早】小宮山 悟さん(53)  早稲田大学野球部監督/90年卒、教育。日米のプロ野球で投手として活躍(撮影/編集部・小柳暁子)
【早】小宮山 悟さん(53)  早稲田大学野球部監督/90年卒、教育。日米のプロ野球で投手として活躍(撮影/編集部・小柳暁子)
【慶】山縣亮太さん(27) 陸上選手/2015年卒、総合政策。16年リオ五輪銀メダリスト(撮影/編集部・小田健司)
【慶】山縣亮太さん(27) 陸上選手/2015年卒、総合政策。16年リオ五輪銀メダリスト(撮影/編集部・小田健司)

「永遠のライバル」関係にある早稲田大学と慶應義塾大学。第一線で活躍する卒業生がそれぞれの魅力を振り返る。早稲田は早稲田大学野球部監督・小宮山悟さん、慶應は陸上選手・山縣亮太さん。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。

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■慶應 山縣亮太さん(27)陸上選手

各大学の競技環境を調べていくなかで、慶應が一番自分に合っていると感じました。日吉の整備の行き届いたグラウンドは申し分ありませんし、一番良かったのは選手が主体的に練習に取り組んでいる姿でした。通常は指導者が練習のメニューを考えるのでしょうが、選手が自分なりのスケジュールを作って走っている姿をみて「いいな。力がつく学校なのかな」と思いました。これも福澤諭吉先生の独立自尊の精神でしょうか。慶應にはけがやスランプなどの壁を乗り越えるための材料があるんです。施設だったり、OBのつながりだったり。2013年は腰痛に苦しみましたが、先輩から一流のトレーナーを紹介してもらえました。昨年はアジア大会の100メートル決勝で10秒00の自己ベストタイをマークしました。今年は病気で少し休みましたが、来年の東京五輪で卒業後に入社したセイコーホールディングスと慶應の名前を背負って活躍できるよう励みます。

■早稲田 小宮山悟さん(53)早稲田大学野球部監督

 早慶戦に魅せられて2浪して早稲田に入りました。東大出の進路指導の先生に慶應タイプではないと言われて、そこから早稲田一辺倒。プロはすべて自己責任のシビアな世界ですが、私にとって一番尊いものは六大学野球。しかも早稲田であれば慶應を相手にたたかうことです。慶應の方々も打倒早稲田という思いがあると思う。プロに進んで今日に至っているのは、慶應のおかげだと思っています。良きライバルとして切磋琢磨できる存在でしたから。ボールを投げるということに関しては神様に才能を与えてもらったという感じがしますが、頭の中に大きく残っているのは、早稲田の野球部で歯を食いしばって頑張ったということなんです。野球部では、もちろん自分のためにプレーするのですが、その向こうには共に学んでいる学友や社会に出て活躍されている稲門の方々がいる。その人たちの思いも背負って神宮に立っているんだと選手たちに伝えています。

(編集部・小田健司=慶應、小柳暁子=早稲田)

AERA 2019年9月16日号