昨年発表されたセカンドアルバム「Ya Chaika」は、フリー・ジャズ、アンビエント・フォーク、現代音楽などの要素を柔軟に崩しながら取り入れた力作だが、決して敷居が高くないのが彼女の良さ。自由自在な音作りの発想は、もちろん正確な計算に基づいているのだろうが、一方でひらめきや本能に素直に従っているのでは?と思える瞬間もあったり、曲によってはまるで子守歌のようにさえ聴こえたり……と、全く異なる表情を見せてくれる。

 音だけではなく言葉、歌詞においても新たな表現を追い求めている角銅真実。音楽を楽しむにはこんな聴き方、楽しみ方もあったんだと気づかせてくれる彼女は、フジロック初日の木道亭で、一体どんなパフォーマンスを観せるのだろうか。(文/岡村詩野)

AERAオンライン限定

著者プロフィールを見る
岡村詩野

岡村詩野

岡村詩野(おかむら・しの)/1967年、東京都生まれ。音楽評論家。音楽メディア『TURN』編集長/プロデューサー。「ミュージック・マガジン」「VOGUE NIPPON」など多数のメディアで執筆中。京都精華大学非常勤講師、ラジオ番組「Imaginary Line」(FM京都)パーソナリティー、音楽ライター講座(オトトイの学校)講師も務める

岡村詩野の記事一覧はこちら