AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
* * *
Q:「人生100年時代」がうっとうしいです。明るい老後が見えません。昔だったら死んでいる年齢。死にたいわけでもないけど100年も生きたくありません。田舎の里山とかに住みたいなとも思いますが、今の仕事をするには職場に通う必要があり、踏ん切りがつきません。(男性/会社員/54歳/いて座)
A:はい、正直言って、僕も同感です。人生100年時代って、昭和の時代に実現していたら夢のある話だったと思う。一軒家買って、大家族作って。その気合と根性ってどこから来たんだろう。いま、自分がおじいちゃんになったときに、でかい一軒家を建てて、家族全員が集まっているところなんか想像しても、喜びよりも先に負担のことを考えてしまいますよね。
昔と比べていま100年生きることが、幸せとだけ思えない理由の一つは、いい悪いは別として、宗教的な価値観が昔と比べて薄くなったからだと思う。これは別に、宗教に入りましょうという話じゃないんです。村の中枢に寺とかがある世界だったら、なんていうのかな、役割分担があった。若手は肉体労働がメインで、だんだん順番に年を取っていくと寺にも通って。生活ももっと余裕があった。
今後、寺に代わる可能性があるものって、喫茶店なんじゃないかと思っています。そこらへんの喫茶店に行って、足が痛いって言ってる知らないおばあちゃんの話を聞くべきだと思うんですよね。自分もたまに愚痴をはいたりして。
100年時代をどう生きていくかという不安と心配は、つまり成長し続けなければいけないというストレスです。成長して立派な話をしなければっていうプレッシャーが、どの人にもある。そうじゃなくて、どうでもいい話を、誰も聞いてなくてもいいからできる場所。それがない世界って、すごいストレスというか。