「昼間に魚が釣れにくいのはなぜ?」 小さな研究者が編み出した実験方法とは (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「昼間に魚が釣れにくいのはなぜ?」 小さな研究者が編み出した実験方法とは

連載「探究堂日記」

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山田洋文AERA#AERAオンライン限定
「仮説」「検証」「結果」「考察」を繰り返し、真実に迫っていく(写真/筆者提供)

「仮説」「検証」「結果」「考察」を繰り返し、真実に迫っていく(写真/筆者提供)

模造紙や付箋を使い、追求の過程を可視化する(写真/筆者提供)

模造紙や付箋を使い、追求の過程を可視化する(写真/筆者提供)

「おかしいなあ、お昼も餌をたくさん食べてるんやけど」

 鴨川に生息する小魚を捕まえることで、なんとか実験にこぎつけた男の子の前に新たな問題が立ちはだかります。

 彼は、朝・昼・晩の三回、水槽の魚に餌をやって、食べ残しの状況を確認することにしました。ところが、何度実験を繰り返しても、予想とは異なる結果が出てしまうと言うのです。

 原因究明のために探究ノートを改めて見返していると、我々はふとあることに気付きました。

「水温が朝昼晩でほとんど変わってへんやん!」

 室内にある水槽の水温が一定に保たれているため、それまでの実験のやり方では当初の仮説が全く検証できていなかったのです(何たるポカミス……)。

 とは言え、一度や二度の失敗でへこたれる探究堂キッズではありません。試行錯誤そのものが彼にとって大きな学びであり、この失敗をきっかけにより一層やる気が増した様子がうかがえました。

 ちなみに当課題に関しては、K君は水槽にライトを当てて水温を上昇させるというユニークなアイデアで解決を図りました。ただし、自分のアイデアにすっかりご満悦で、翌日の実験では肝心な食べ残し確認を忘れて、ノートに水温の変化だけ記録していたのはご愛嬌です。

 数々の紆余曲折がありながらも、本人としては納得いくまでテーマを追究し、約2カ月間に及ぶ個人プロジェクトは終わりを迎えました。

 もしかすると読者の中には、彼が立てた仮説の甘さや調査方法・分析の粗さが気になった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、研究者としての一歩を踏み出した子どもにとって何より重要なのは、自分の力で探究サイクルを回すことができたという実感を持つことだと私は考えています。

 現にこの男の子はヘンテコなアイデアやポカミスもひっくるめて、自らの学びのプロセスを面白がりながら振り返っていました。

 小さなプロジェクトとは言え、自分なりにやりきったという経験は新たな探究に取り組む上での自信につながったに違いありません。

(文/山田洋文)

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山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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