「仮説」「検証」「結果」「考察」を繰り返し、真実に迫っていく(写真/筆者提供)
「仮説」「検証」「結果」「考察」を繰り返し、真実に迫っていく(写真/筆者提供)
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模造紙や付箋を使い、追求の過程を可視化する(写真/筆者提供)
模造紙や付箋を使い、追求の過程を可視化する(写真/筆者提供)

 探究堂では、クラスの仲間たちと試行錯誤して取り組む「プロジェクト学習」がカリキュラムの中心です。自分一人では思いつかない発想が生み出される瞬間を体感してもらいたいと考えているからです。

 一方で、探究堂には自分が興味・関心のあることをテーマに設定し、個人プロジェクトとしてそのテーマをとことん追究する授業も存在します。「マイプロジェクト」を略して「まいぷろ」と名付けたこのクラスには、中学年クラス(小学3・4年生)に在籍している生徒のうち希望者が参加できます。

 まいぷろクラスでは以下の点を大切にして授業を進めています。

1.探究サイクルを自主的に回す
自らの力で「仮説・実験・検証」を繰り返し、正解を導き出すことよりも、仮説を更新し続けていくことそのものを楽しむ。

2.全ての情報をノートに記録する
自分の思考を活性化させるために、調べたこと・思いついたこと・実際に試してわかったことを何でも記録する。

3.追究の過程を可視化する
模造紙と付箋を用いて自らの学びのプロセスを可視化し、それを振り返るなかで、見えない成り行きを追うことの面白さを実感する。

 テーマ決め・計画・調査・まとめをすべて子ども主導で行うことがこのクラスの一番大きな特徴と言えるでしょう。

 まいぷろクラスの学びをさらに知っていただくために、個人プロジェクトの事例を一つご紹介したいと思います。

「なんで魚は昼間に釣れへんねやろ?」

 探究堂の1期生であるK君(小学4年生)が初めて取り組んだテーマは、釣り好きの彼らしい素朴な疑問から生まれました。

 最初に彼は「昼は水温が高いため、魚もお腹がすかない」という仮説を立てました。

 仮説を検証するためには、まず実験用の魚を用意しなければなりません。

 仕事で忙しいお父さんとの予定を調整し、日曜に海釣りに出かけたところまでは順調そのもの。しかし、現地で釣れた魚は水槽で飼うには大きなサイズのものばかりで、作戦の根本的な見直しが必要になったのです。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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