「トランプの壁」に効果はあるのか? ベルリン、ローマ帝国…歴史が暗示する末路 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「トランプの壁」に効果はあるのか? ベルリン、ローマ帝国…歴史が暗示する末路

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山本大輔AERA#ドナルド・トランプ
AERA 2019年4月22日号より

AERA 2019年4月22日号より

英国北部に残る「ハドリアヌスの長城」跡(写真:gettyimages)

英国北部に残る「ハドリアヌスの長城」跡(写真:gettyimages)

中国が世界に誇る「万里の長城」(写真:gettyimages)

中国が世界に誇る「万里の長城」(写真:gettyimages)

「乗り越えられない壁はない」。人生の教訓だ。人類の歴史は、防御のために築かれた数々の壁と、それを乗り越えようとする人々の攻防だった。そんな歴史の教訓が、トランプ米大統領の壁建設にも立ちはだかる。

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「自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つければ、それに向かってエネルギーを注げる。(中略)それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁にも向かっていくことができる。それが見つけられないと、壁が出てくるとあきらめてしまうということがあると思う」

 3月21日に現役引退を表明した大リーグ・マリナーズのイチロー選手(45)=本名・鈴木一朗=が、引退会見で残した言葉だ。日米で数々の記録を刻んだイチロー選手には、「壁」にまつわる名言がほかにもある。

「壁というのは、できる人にしかやってこない。越えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている」

 人生の教訓として、人々はたびたび「乗り越えるべき挑戦」を「壁」に例えてきた。行く手を遮る障害物があれば、乗り越えようとするのが人間だ。パナソニック創業者の故・松下幸之助氏も、こう話している。

「なんとしても2階へ上がりたい。どうしても2階へ上がろう。この熱意がハシゴを思いつかせ、階段をつくり上げる」

 壁と人間の関係は、人生の比喩だけにとどまらない。人の行く手を遮る壁と、それを乗り越えようとする人々の攻防は、歴史の中で何度も繰り返されてきた。全長約2万1千キロを誇る中国の世界遺産「万里の長城」や、ローマ帝国の防御壁の最北端に位置した英国北部の世界遺産「ハドリアヌスの長城」、冷戦時代の東西分断の象徴だった「ベルリンの壁」などだ。

 歴史に残る数々の壁の役割や効果が今、にわかに脚光を浴びている。背景には、不法移民や麻薬組織などの越境侵入を深刻な安全保障問題に位置づけるトランプ米大統領の存在がある。メキシコ国境(約3200キロ)の約1160キロにわたる巨額な壁建設予算を、国家の非常事態を宣言してまでも確保しようとする大統領の強硬姿勢が、世界の注目を集めているからだ。


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