AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。
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「私にとって一番のゴールは、この映画が正しく描かれているとルースが感じてくださること、映画を気に入ってくださることでした」
と語るのは、俳優のフェリシティ・ジョーンズ(35)。「ビリーブ 未来への大逆転」で米連邦最高裁判事として今も現役で活躍するルース・ギンズバーグ(86)を演じた。女性が自分の名前でクレジットカードを作れなかった1970年代の米国で、100%負けるといわれた“男女平等裁判”に果敢に挑む姿を描く。
自身のキャリアで幾度となく男女差別にぶつかっては乗り越え、米国の女性たちの「生きるアイコン」として尊敬されているルースだけに、
「彼女を演じることは、大変な努力を必要とすることは最初からわかっていたので、色々な側面から役にアプローチしていきました」
とジョーンズ。カラーコンタクトやウィッグをつけたり、全ての歯にキャップをつけてスクリーンテストを繰り返しながら顔を作ったり。ルースの著作をたくさん読むことも彼女を深く知るためのリサーチの一部だったと言う。
「ルースは法律家であるだけでなく、素晴らしい物書きでもあります。言葉がどれほど人の気持ちを動かすか、言葉の力を知っているからこそ、言葉を精査して選んでいることがよくわかりました」
また、実際にルースに何度か会い、一緒に時間を過ごすことで信頼を築き上げた。ワシントンの事務所や法廷、自宅も訪れ、あらゆるところで彼女の人となりを自身の血肉にしていった。
今回ルースを演じたことで、「自分が信じていることを信じていいんだと思えるようになった。間違いなく物の見方が変わった」と言う。