足立区就学前教育推進担当係長の大高美奈子さんは言う。

「小学校の先生から、授業中にうとうとする子が減ったという声も聞きました。保育園の昼寝を見直し、早寝の習慣をつけることは、学校生活へのスムーズな移行にもつながります」

 昼寝の時間を連絡帳の記入や休憩に充てていたため、廃止にあたっては保育士の負担が増えるという声もあったが、足立区では、1日4時間の非常勤職員を新たに配置して対応した。

 中央本町保育園の深山敏子園長は一斉昼寝廃止で子どもの成長を感じたと話す。

「子どもが自分の体の変化について自分で気づいて、必要なときはお昼寝したり、静かに過ごしたりできるようになりました」

 年少(3歳児)クラスでも一斉の昼寝を廃止する保育園も出てきている。

 茨城県古河市の清恵保育園では、18年4月から年中と年長クラス、同7月から年少クラスで一斉の昼寝をやめた。

 過去に幼稚園で勤務したこともある浅井道浩園長は、この年代の園児たちに昼寝が必要なのか疑問に感じ、茨城県西地区の保育園の昼寝を調査。単に慣習として続けられていることや、園によって昼寝時間に1時間以上も差があること、休日は昼寝しない子も多くて規則正しい生活習慣とは言い難いことなどが分かり、昼寝の見直しを決めた。

「子どもたちは遊びから学び、成長していきますが、自分の好きなことに遊び込める時間が増えて、さまざまな意欲も育ってきたなと感じます」(浅井園長)

(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年3月4日号