「そう、こういう優れた政治家もいたと紹介できたのはよかったと思う。ただし映画はハートの物語ではないよね。彼をとりまく女性陣も丁寧に描かれていて、#MeToo運動につながってもいる。監督は善悪の判断を押しつけない。材料を全部出して、観客に考えさせようとする。僕は実際に本人に会って感銘を受けたからゲイリー寄りのバイアスがかかってしまう」
あくまでもフェアであろうとする気遣いに「ハリウッド一のいい人」という評判を思い出した。
良きパパ、愛妻家でも知られるジャックマン。自分で欠点と思うところはありますか。
「たくさんあるよ。誰だってそうじゃない? 克服したい悪癖もあるし、家庭と仕事のバランスもいつも頭痛の種だし」
50歳をすぎても向上心を忘れていない。
「うん、人間は成長を続けないとね。オペラ歌手のパヴァロッティは死ぬ当日までレッスンを続けていた。僕なんか死ぬまで努力して当たり前だよね」
(ライター・鈴木あずき)
※AERA 2019年2月18日号