「NATTOです。日本の大豆です。どうですか?」

 ドライ納豆自体の評判は可もなく不可もなくという様子だが「いりこがおいしい」というコメントが多く聞かれた。タンザニアでも、ビクトリア湖で取れる小魚を甘く味付けして食べる習慣があり、親近感を持ったのかもしれない。

 試食したスタッフのマウリッドさんは、

「タンザニア人はナッツに砂糖をまぶして食べるから、これも甘く味付けしたら抵抗なく食べることができるかも」

 WASSHAのサービスが導入されている未電化地域で行った試食でも、「味がしない。おいしくない」との声が多く、「甘くするべきだ」という意見が多かった。

「日本人と違って、初めて食べるから納豆が甘くても抵抗がないのかもしれない。ナイロビの日本食ファストフード店『テリヤキ・ジャパン』で食べた焼きうどんも砂糖で味付けしたようなもので、日本人の舌に合うとは言えなかったけど、こちらでは好まれるのでしょう」と宮下も納得の様子だ。

 納豆に、砂糖。醤油でご飯にのせる食べ方しかしたことがないとぎょっとするが、実は新潟を始め日本の一部地域では親しまれてきた食べ方だ。

 JICAタンザニア事務所の長瀬利雄所長はこう解説する。

「タンザニアには約130もの部族があり、食生活は様々ですが、ほとんどが食に対しては保守的です。タンザニアのビジネスシーンでは、打ち合わせ時にナッツと飲み物が用意される場合が多くて、ナッツをつまみながら会議をしたりすることがあります。より体にいいおつまみとして納豆の進出を狙ったりするのは面白いかもしれない」

 宮下も自信をのぞかせる。

「丸亀製麺を展開するトリドールがケニア進出に挑戦し、テリヤキやショウユの認知度も上がっています。初期投資を抑えて、長期的に納豆・ドライ納豆の効果効能を正しく伝えるプロモーションができれば、アフリカにNATTOの文化を根付かせることは十分に可能だと感じました」

 完成したシュガーローストドライ納豆が、アフリカの地に届く日は近い。(文中一部敬称略)(編集部・高橋有紀)

週刊朝日  2019年2月4日号