最悪の結末は米国内戦勃発…トランプ時代に文学が刻む危機感 (3/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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最悪の結末は米国内戦勃発…トランプ時代に文学が刻む危機感

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山本大輔AERA#ドナルド・トランプ
出版が相次ぐ「暴露本」で描写されるトランプ大統領は、フィクションでしかありえないような言動を、現実世界で繰り返している(写真:gettyimages)

出版が相次ぐ「暴露本」で描写されるトランプ大統領は、フィクションでしかありえないような言動を、現実世界で繰り返している(写真:gettyimages)

 トランプ大統領がこだわる米国第一主義派と、大統領の暴走に抵抗しながら同盟国などとの連携を重んじる国際協調派に分裂した政権内部が、具体的な政策をめぐり衝突する日常。イバンカ夫妻や側近の一部が大統領執務室にアポなしで行き来する秩序なきホワイトハウスの混乱。

 そんな政権内部の状況について、プリーバス元首席補佐官の言葉が紹介されている。

「ヘビとネズミとハヤブサとウサギ、サメとアザラシを動物園の檻(おり)に一緒に入れたら、血を見るひどい事態になる。それが今、起きている」

 トランプ政権の実相が目に浮かぶ記述に優れた一冊だ。同書に登場する国際協調派が全て政権を追われた事実こそが、暴走の抑止力を失ったトランプ政権の危うさを象徴している。
「大統領選挙の翌朝、ワシントンを包む灰色の空は、葬式を連想させた」

 2期8年にわたりオバマ前大統領を支えたミシェル・オバマ前大統領夫人が、自身の回顧録『BECOMING』で吐露したトランプ大統領当選についての嘆きだ。前大統領夫人となった現在に至るまでの人生を振り返る一冊だが、「オタクっぽい」が第一印象だったというオバマ前大統領の人間性も伝わってくる。12年12月、米コネティカット州の小学校で児童20人を含む26人が死亡した銃乱射事件が、オバマ大統領を最も激しいショックに落とし込んだ出来事だったという。

「2期8年の公務中に、私の存在を彼が求めたのは、この時だけだっただろう。私たちは日程調整して、心を静めるため、一緒に時間を過ごした」

 16年の大統領選当夜、結果が明らかになるにつれ、オバマ前大統領の表情を見ていられなくなったミシェル夫人は早々と寝室にこもった。前大統領は徹夜で結果を分析し、翌朝は国民に対して団結と尊厳を呼びかけた。当然だが、ミシェル夫人が誇りとする夫についての描写は極めて優しい。一方で、夫の出生地を疑問視する発言を繰り返したトランプ氏を「許さない」と書き込んだり、同氏が繰り返す女性蔑視の姿勢を批判したりして、トランプ大統領への嫌悪感は隠さなかった。


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