【ヴァージン・ギャラクティック】母機に搭載されて上空まで運ばれるスペースシップ2
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【ヴァージン・ギャラクティック】母機から切り離し宇宙空間を飛ぶ様子(上)と機内や搭乗者(下)のイメージ
【ヴァージン・ギャラクティック】母機から切り離し宇宙空間を飛ぶ様子(上)と機内や搭乗者(下)のイメージ
主な宇宙旅行の輸送サービス企業(AERA 2019年1月14日号より)
主な宇宙旅行の輸送サービス企業(AERA 2019年1月14日号より)

「私たちは、誰もが気軽に宇宙旅行を体験できる人類の第1世代になります。社会に与えるインパクトは絶大でしょう」

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 宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴さんは、人類が宇宙旅行時代に入る移行期に直面している、と強調する。

 清水建設で宇宙開発室に配属され、宇宙の専門家とのネットワークを築いた大貫さん。2002年に同社を退職後、米国で「ゴールドラッシュのような宇宙ビジネス業界の勃興」に触れ、帰国後はJAXA(宇宙航空研究開発機構)勤務を経て独立した。大貫さんは言う。

「宇宙が無限であるように宇宙ビジネスの可能性も無限です」

 今、注目されているのは高度400キロの地球周回軌道を目指す「オービタル(軌道)旅行」と、高度100キロ超の宇宙空間に到達する「サブオービタル(準軌道)旅行」だ。

 サブオービタル旅行は地球を周回するのではなく、弾丸が弧を描くように飛ぶ「弾道飛行」で地上と宇宙空間を往復する。垂直打ち上げ型は10分程度、空中発射型は2時間程度の旅程だが、客席の窓から地球を眺めたり、数分間の無重力を体験したりできる。特筆すべきは1席2千万円台という搭乗価格だ。

 大貫さんはこう語る。

「この料金で宇宙に到達するインフラができるのは宇宙産業の革命です」

 サブオービタルの商業運航レースの先端を走るのが、米国の「ヴァージン・ギャラクティック」と「ブルーオリジン」だ。

 大貫さんが「本命視」するのは、「アマゾン・ドット・コム」の創業者、ジェフ・ベゾス氏が設立したロケット開発会社「ブルーオリジン」。同社のサブオービタル機「ニュー・シェパード」は、ITを駆使した全自動制御機のためパイロットは不要で、乗客6人が乗り込むカプセルをロケット先端部に搭載している。

 地上から垂直発射で打ち上げ後、カプセル部分は切り離されて高度100キロ超の宇宙空間へ。カプセル部分はパラシュートで帰還。ロケットブースターは再着火し、地上に戻って回収、いずれも再使用される。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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