同社は15年以降、同じ機体の試験機で計5回、高度100キロを超える宇宙空間への無人飛行に成功している。17年12月に投入した改良型のニュー・シェパードで宇宙服を着たマネキンを搭載して無人飛行実験を実施。今後、有人飛行実験を重ね、19年中に商業運航をスタートさせる見込みだ。ただ、19年の販売開始が告知されている搭乗チケットの発売時期や価格については公表していない。

 一方、これとは対照的に、05年から1席25万ドル(約2800万円)で大々的に搭乗予約を呼び掛けてきたのが、ヴァージン・ギャラクティックだ。世界で約700人分の座席が予約販売済みという。同社と独占契約を結ぶ代理店が日本にある。

 東京・西新宿の高層ビル群の一角。国内外のツアー旅行を手掛ける「クラブツーリズム」本社ビルの歩道沿いの壁には、地球と宇宙船を組み合わせた合成写真に「スペースシップ2で行く宇宙旅行」と書かれたポスターが貼られていた。

「今のところ、このポスターを見て宇宙旅行を申し込んだ人はいませんが、宇宙もカバーする旅行会社であることをアピールしたいと考えました」

 こう話すのは、「クラブツーリズム・スペースツアーズ」の浅川恵司社長だ。

 クラブツーリズムがヴァージン・ギャラクティックと日本国内でのチケット販売の独占契約を結んだのは05年。運航開始を控え、14年に分社化し、宇宙旅行取り扱い業務に特化したクラブツーリズム・スペースツアーズを設立した。

 同社によると、これまでに40~80代の20人(男性16人、女性4人)が搭乗チケットを購入。平均年齢は60歳、最高齢は85歳の女性という。男性の7割が不動産、出版、ITなどの会社経営者。ほとんどが創業社長だという。夫婦や親子といった身内同士で申し込んだ人はいなかった。動機は「青い地球を眺めてみたい」「無重力を体験したい」といった宇宙への好奇心に集約されるという。

 ヴァージン・ギャラクティックの「スペースシップ2」はパイロット2人を含む8人乗り。母船となる航空機の胴体下部に取り付けられて離陸後、高度15キロで切り離し、空中発射する。ロケットエンジンの噴射時間を約90秒に抑えたことにより機体のコンパクト化につなげた。「早ければ19年末」(浅川社長)の商業運航開始を見込む同社は、将来的に日本人ツアーのチャーター機の手配も予定している。

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