図版=AERA 2018年12月31日-1月7日合併号より
図版=AERA 2018年12月31日-1月7日合併号より

 2019年1月から相続に関する法制度が大幅に改正される。大きなポイントの一つが、「相続人以外の貢献度を考慮する」ように定められた点。相続人以外でも、被相続人の介護などの貢献度によって、遺産を受け取ることができるようになるという。

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「相続人以外の貢献度を考慮する」よう定められた点にも、これまで家庭で介護を担ってきた女性たちに対する配慮がうかがえる。

 改正前は、義父母の介護を献身的に行っても、往々にして義父母の遺産をもらうことはできなかった。「子の配偶者」は相続人に該当しないためだ。

「義父母が被相続人となる場合、その子(相続人)の配偶者は義父と養子縁組したり、特定遺贈(遺言により遺言者が指定した財産を無償で譲ること)を受けるなどの特段の便宜を図ってもらわない限り、基本的に遺産分配を受けられませんでした」(税理士法人レガシィ統括パートナー税理士の田川嘉朗さん)

 もちろん、遺産目的で介護するわけではないだろうが、遺産分割協議からして蚊帳の外となれば不満が生じるのも自然なことだ。

 実際、義父らと同居していた場合、義父や義母の介護を担わざるを得ない女性は少なくない。そのため夫の死後、義父らとの縁を絶つ「姻族関係終了届」を出す女性が近年増えていることは、メディアで相次いで取り上げられてきた。

 このような社会現象も踏まえ、今回の改正により、相続人以外でも被相続人の療養看護などで特別に貢献した人には、相続人に対する金銭請求権を行使できるようになった。相続財産の一部を金銭として請求できるのだ。

「寄与者の請求権を認めたことにより、被相続人と離れて暮らしてきた相続人がこれまで以上に、自身の配偶者に対して配慮せざるを得ない状況が生まれるのは間違いない」(同)

 これまで1万4千件以上の相談にのってきた相続コーディネーターの曽根恵子さんによれば、「現時点で算定方法は決まっていないが、『介護にかけた時間×都道府県が定めた最低賃金』を時給換算するなどして請求できるようになる」。曽根さんの試算では、100万~200万円程度は請求できるという。

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