AERA 2018年12月10日売り表紙に星野源さんが登場
AERA 2018年12月10日売り表紙に星野源さんが登場

 音楽家・俳優・文筆家として活躍する星野源さんがAERAに登場。12月19日に発売されたニューアルバム『POP VIRUS』に込めた思いを明かした。

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 実は“危機”を迎えていた。

 ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が話題を呼び、主題歌「恋」にあわせて多くの人たちがダンスを踊った、そのあと。星野源は充足感と幸福感のなかで、少しずつ壊れていくような感覚を覚えたという。2017年、晩秋のことだ。

「やることや考えなきゃいけないことが色々あるのに、それを処理できないままときが過ぎていくことが多くて」

 17年の自身の活動を記録したオフィシャル・イヤーブック『YELLOW MAGAZINE 2017−2018』のなかで、彼はこう語っている。

 沸騰する人気と極まる多忙。メディア発のゴシップが、自分のキャラクターと同化してしまう恐怖。心のなかの陰の部分はどんどん肥大し、ストレスは最高潮に達していく。

 好転したきっかけのひとつが、18年2月にリリースしたシングル「ドラえもん」だ。このままでは駄目だと思い、開き直って、好きなことを好きなようにやった。すると、「扉がパーッと開いた」(星野)。そして多彩なアイデアを詰め込んだ、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」の主題歌「アイデア」で、新たな方向性への手応えをつかんだ。

 ニューアルバムのための曲作りは、全体の構成やバランスにとらわれず、「フリースタイルでやりたいように」(星野)。ふと気付いたら、自分でも不思議なことに、なぜかたくさんのラブソングができていた。

 アルバムの冒頭を飾る表題曲「Pop Virus」の歌詞はこんなふうに始まる。

<音の中で 君を探してる/霧の中で 朽ち果てても彷徨う/闇の中で 君を愛してる/刻む 一拍の永遠を>

 さまざまなできごとを経て、さらに自由に、力強く、親密な。新しいアルバム「POP VIRUS」が完成した。(ライター・門間雄介)

AERA 2018年12月31日号-2019年1月7日合併号