初代クイーン世代女子の“怨念”がブーム再燃の原動力

2018/12/15 17:00

11月24日、フレディの命日にシンコーミュージックのビルで緊急開催された追悼イベントで、参列者に配布された記念ポストカード(撮影/品田裕美)
11月24日、フレディの命日にシンコーミュージックのビルで緊急開催された追悼イベントで、参列者に配布された記念ポストカード(撮影/品田裕美)

 世代も性別も超えて絶賛されている映画「ボヘミアン・ラプソディ」。1975年の初来日のころに熱狂した初代クイーン世代の女性ファンらは、彼らからどのようなパワーを受け取ったのか。

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 初代クイーン世代の中心は60年代生まれ。その多くが高卒か短大卒での就職を勧められる少女時代を過ごした。理由は「嫁のもらい手がなくなるから」。

 社会人になる前後の86年には男女雇用機会均等法が施行されたものの、現実は厳しかった。私(角田)は2009年のAERAで均等法第1世代のその後を追ったことがある。総合職として入社した、時代のトップランナーだった彼女たちが、40歳を過ぎて正社員として勤続している例はわずかだった。04年版男女共同参画白書でも、均等法第1世代を対象にした調査で「女性の回答者が少なかったのは、今も働き続けている女性が少ないため」と推測されている。

 一方で、サブカルの世界では彼女たちの影響力は生き続けた。いまや大御所の少女漫画家、萩尾望都や大島弓子、青池保子、山岸凉子らが出版社の編集者にストーリーを理解されず、苦労したころから熱中し、支えたのもこの世代の少女たちだ。ナンシー関や中尊寺ゆつこらを輩出し、竹の子族やDCブランド、女子大生ブームも作った。

「オンナコドモのもの」とさげすまれたものを一途に愛し、置かれた場所で生きることを大切にした。それが私たちの闘い方だった。一回り上の「団塊」が声高に真っ向から社会と闘い、敗れていくのを目の当たりにした世代。時は流れ、「普通のおばさん」になったけれど、時代の面白さに敏感で、社会へ影響を与え続けてきたのだ。

 79年のクイーン来日公演に熱狂し、「ボヘミアン・ラプソディ」を九州の地元のシネコンで観た竹本貴美子さん(57)は話す。

「観客の多くはスーパーで見かける風のおばさんや白髪交じりのおじさんで、生活に疲れた感が満載。でも昔は私みたいなロック少年少女だったはず。観終わったときは劇場が温かい雰囲気になっていて語り合いたかった。みんな、頑張ろうって。映画にはクイーンをよみがえらせて、青春時代に連れ戻してくれてありがとうっていう気持ちです」

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