──まさに全員野球。チームワークはバッチリですか。

香取:そうですね。ただ……今のところ、秋元才加ちゃんとエマちゃんとはまだ一度も話してないです。僕、あんまり人と話さないんですよね。

三谷:この人はいつもそうだから。僕だって、なかなか距離は縮まらないですから。

香取:話したいことはあるんですけど。自分もAbemaTVで番組をやってるんですけど、エマちゃん、Abemaのニュース番組で日替わりの司会をしてるんです。僕が一番見ている番組で、稽古の後、家で見ると「出てる!」って。

──話したいことはあるのに喋らないんですね。

香取:何ですかね、家で台本を見ないので、現場ではみんなでワイワイしてる時間がなくて。

三谷:現場でワイワイする時間を作りたいから、台本を家で覚える、みたいな気持ちにはならないんですか?

香取:いや、きっと全部現場でクリアする形じゃないと、これまでやってこられなかったんだと思います。仕事を全部家に持ち帰ってたら、いっぱいいっぱいになっちゃって……。

──台本は現場で、当日に覚えるということですか!?

香取:そうです。

三谷:香取さんは集中力と瞬発力がすごいからそれができる。ただ、瞬発力がすごいのはわかってるので、僕としてはそれより先を目指したい。できれば彼に楽をさせたくないんです。

──お互いの「歴史」を振り返ると、出会ってから約20年、印象の変化はありますか。

香取:最近、大河ドラマ「新選組!」のとき、三谷さんが今の僕と同い年くらいだって知って衝撃的でした。当時から「先生!」みたいな感じでしたから。50歳は超えてると思ってた。

三谷:今の香取さんよりちょっと上で43歳くらいですね。香取さんの印象は人との距離感も含めて今と全然変わらない。香取さんは、自分の作品を見返したりしないんですか?

香取:見返したい気持ちはあるんですけど、引き戻される感じがして、あんまり好きではないかもしれない。

三谷:実は僕もそうで、日本の歴史は振り返りたいけど、自分の歴史はあまり振り返らない。

香取:ただ、今回の舞台は一回見たら、絶対もう一回見たくなると思う。あんなにみんなが笑ってたシーンだけど、笑ってちゃいけない場面だったんだとか、あとから刃のように鋭く突き刺さる場面が至る所にあるので。

三谷:ホントにコメント力は素晴らしいですよね! 香取慎吾によるセット転換も含めて見どころ満載なので、始まったら最後、気を抜かずに見てほしいですね。

(ライター・大道絵里子/写真部・加藤夏子)

※AERA 2018年12月3日号