大学業界はこれを文科省による定員厳格化と呼んでいる。
大学にすれば、入学者は定員をすこし上回る程度でおさめたい。
そのためには確実に入学してくれる学生を増やすしかない。合格すれば必ず入学する入試、つまり、推薦やAO入試での受け入れを増やすことである。
早稲田大教育学部は19年から指定校推薦入試を導入する。募集人員は190人。これまでの自己推薦入試50人枠は廃止となる。全体の募集人員が変わらないため、一般入試枠は700人から560人に減ることになる。
確実に入学する推薦枠140人分の確保は大きい。
これまでの一般入試合格枠140人は他大学に流れることがあり、歩留まり、つまり合格者がどれだけ入学するかを読めなかったが、推薦枠確保でその心配はなくなる。なにより第1志望とする学生をより多く受け入れられるのはありがたい。
そして、一般入試枠140人が減ることによって、入試倍率が高くなり合格者数は減って、難易度は上がる。優秀な学生が増えることが期待できる。
これらをまとめると、定員の厳格化→推薦枠増加→一般入試枠減少→入試倍率増加→合格者減少→難易度上昇、という図式となる。
定員の厳格化によって、AO・推薦入試が増えることが予想される。20年度から推薦入試は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」と名称が変更される。これらの入試は、受験勉強を経験しない分、学力が十分ではないと言われることがある。
定員厳格化で一般入試組のほうが優秀と言われないよう、学校推薦型、総合型の両選抜方法に工夫が求められる。(教育ジャーナリスト・小林哲夫)
※AERA 2018年11月5日号