「店内はかわいい!の一言。ファッションブランドがプロデュースしているだけあり、細部までこだわりが感じられます。メニューも、巨大な綿あめがコーヒーの上に浮かんでいたり、写真映えするものがいっぱいです」

 センスのいいカフェが集まるエリア・聖水洞(ソンスドン)にある「URBAN SPACE」は、同じくプールがコンセプト。だがこちらはカフェではなくバーで、入店は20歳以上のみ。店内に設けられた大きなプールの中には大量のボールが敷きつめられている。ここに入り、ユニコーンやフラミンゴの浮輪と一緒に写真を撮るのがお決まりだ。天井にはミラーボールが輝き、撮影するタイミングで雰囲気が変化するよう照明の色が変わり続ける仕掛けもある。今年7月には明洞に2号店もオープンした。

 フォトジェニックなフードやスイーツを売りにした店も話題だ。「Mnd coffee」は厚岩洞(フアムドン)という観光客に馴染みのないエリアにあるにもかかわらず、日本人旅行者もわざわざ足を運ぶカフェ。お目当ては、絵の具で波を描くようにクリームが塗られた「ウェーブトースト」。ピンクやブルーに色付けされたクリームはキュートで、インスタへの投稿が絶えない。

 ショッピングストリートのカロスキルに近い新沙(シンサ)エリアにある「Bistopping」では、好みのトッピングやコーンを選んでオリジナルのソフトクリームを作れる。こぢんまりとした店だが、店の前はカラフルなソフトクリームを手に写真を撮る人でいっぱい。今年3月には弘大に2号店をオープンした。

 インスタ映えするのはカフェやバーだけではない。コスメやファッションショップも、コンセプトを設定したテーマパークのような空間で人気を集めている。カロスキルにあるコスメショップ「VILLAGE 11 FACTORY」のコンセプトは“化粧品オタクの博士の変わった工場”。化粧品工場をイメージしたベルトコンベヤーやタイル張りのフットスパなどがあり、写真撮影を目的に訪れる人でにぎわう。

 いまや若者の間では、韓国旅行の際には、行きたい場所をインスタなどのSNSで探すことが当たり前になりつつある。そして実際にその場所を訪れた人がまたSNSにアップ。こうした形で韓国にハマる人たちが増えている。

 さらに、この流れはソウル以外の地方にも拡大中。釜山や大邱などにもおしゃれなスポットが続々と出現している。

 韓国観光公社などが今年7月に発表した統計によると、18年の上半期に韓国を訪問した外国人観光客は前年比6.9%増の722万人。そのうち日本からの観光客は131万人で、前年に比べて18%増加した。

 SNSが韓国をさらに身近で魅力的な観光スポットにしている。(ライター・NOONAS)

AERA 2018年10月29日号