宇野昌磨(うの・しょうま)/1997年生まれ、名古屋市出身。平昌五輪で銀メダル獲得。今季はロンバルディア杯で優勝、団体戦のジャパンオープンでは男子1位になり、日本を優勝に導いた(撮影/伊ケ崎忍)
宇野昌磨(うの・しょうま)/1997年生まれ、名古屋市出身。平昌五輪で銀メダル獲得。今季はロンバルディア杯で優勝、団体戦のジャパンオープンでは男子1位になり、日本を優勝に導いた(撮影/伊ケ崎忍)

 平昌五輪男子フィギュアスケートで銀メダルを獲得し、世界の頂点へと迫った宇野昌磨。新たな4年のスタートとなる今季、グランプリシリーズの開幕を前に何を思うのか。

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──五輪を終え、新たな4年のスタート。心境が違いますか?

全然違いますね。五輪後のシーズンオフに、自然と心境の変化がありました。今までは自分がスケートを楽しもうと思っていたけれど、期待してくださる方のために良い演技をしたい、と思うようになりました。

 アイスショーにたくさん出たことで、「お客さんに来ていただいてるのに、自分が楽しむというモチベーションでは申し訳ない」と反省したんです(笑)。でも、銀メダルが試合に影響することはなくて、僕らしい演技をしたいと思っています。

 試合は「練習を無駄にしたくない」という一心です。試合は、誰かのためでも、自分のためでも、支えてくれる人のためでも、その時自然に思った気持ちでやればいいと思います。

──「勝ちたい」ではなく、「練習の成果を出したい」と言い続けてきました。

 僕の考え方は「(試合で)勝ちたいから練習する」。でも個人競技なので、本番で勝つべき相手は「自分」です。順位が2位でも、悔やむのはその試合ではなく、自分の練習です。

 平昌五輪では自分に勝てたと思います。1回目の4回転で失敗しましたが、練習でも2回に一度はミスしていた。むしろ「一つミスしても、後は失敗しない」という練習の成果が出ました。だから僕は銀メダルに満足していて、僕の実力で出せる最高の順位だったと思います。

──では昨季、地元名古屋で行われたグランプリファイナルで、2位だったときは?

 あれは反省してます(笑)。後半で連続ジャンプを跳ばなかったので。練習では連続ジャンプを抜かすなんて絶対にない。でも本番だと一つ目を降りた時に「もったいない、せっかく降りたのに」って思って、(連続で跳ぶことから)逃げちゃった。

 去年は「攻める」気持ちでやっていましたが、自分を信じ切れていないからこそ、思い切りやらなければならなかった。今年はもう少し、自分がやってきたことを信じてみようと。失敗したら悔しいですが、それも受け入れようと思っています。

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