●水害

 次は水害だ。市区町村のハザードマップで、水害リスクがどの程度あるエリアかを確認することが不可欠。大規模河川の堤防決壊は大惨事につながるが、実は中小河川ほど短時間の豪雨で決壊しやすい。万一のときに、何メートルぐらい浸水するのかなどを確認しておこう。こんな小さな川だからと油断していると、とんでもない災害が発生することもある。

 浸水リスクのある場所は避けるのが安心だが、さまざまな事情からどうしてもそこに住みたい場合には、より安全な中層階以上を選択するのがいいだろう。避難場所を確認して、スムーズに避難できるようにしておくことも重要だ。

 地名から、リスクをある程度推測できることもある。「川」「谷」「田」などが付く地名は、かつては水が流れていたり、たまっていたりした場所である可能性がある。さんずいのある漢字の地名は水が出やすく、地盤がもろい場合もあるといわれる。

 購入を検討している物件がこのような地名の場所にあったら、かつてどんな土地だったのかを古地図で調べてみるといいだろう。古地図は国土交通省などのサイトで閲覧できるほか、地域の郷土資料館、博物館、図書館などにも収蔵されている。東京など一部の地域については、現在と過去の地図を簡単に比べられるスマートフォンのアプリもある。

 もともと川や湿地などを埋め立てた場所だと、水害のリスクがあると同時に、地震時には液状化リスクも高いといわれている。たとえば、今年の北海道胆振東部地震でも、震源から離れた札幌市清田区で大規模な液状化現象が発生。水があふれ、建物が傾いた。液状化が起きた場所はもともと、厚別川沿いの水田地帯を埋め立ててつくられた住宅地だったそうだ。東日本大震災時には、震源から離れた内陸部の埼玉県加須市などで液状化が発生した例もある。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

※AERA 2018年10月22日号より抜粋