「引退は後ろ向きではなく、次に進むためのステップ」

 彼女はきっと、戻ってこない。自分で人生を切り開いてきたロールモデルとしての安室の不在を多くの人が嘆く。

「安室さんのライブは1年に1回、気持ちをリセットして、また頑張ろうと思えるお正月みたいなものだった。お正月がなくなるのはつらいけれど、ラストツアーで涙を浮かべながら全力で歌う彼女を見ていたら、泣き言は言えません」(前出のフリーライター女性)

「どこかで、彼女も新しいことに挑戦して頑張っていると思うと、私もまた頑張れそうな気がします」(前出のピラティスインストラクター女性)

 記憶として残りますように──。引退日まで開催されている、音楽活動の軌跡をたどる展覧会で、彼女自身がそうメッセージを残した。

 安室奈美恵はきっと、今もこれからも、多くの人の「Hero」であり続ける。(ライター・松田亜子)

AERA 2018年9月24日号