リーダーといえば、周りには、相談できる社員や家族がいくらでもいそうなもの。だが、実際はそうでもないらしい。どんなに心を許した役員や部下であっても、本当に困ったことは、誰にも話せないのが普通。

「すでに身近な部下に反対されているので相談できないようなケースもありますが、トップとして、社員の手本になるような、できる人物でありたいというのは大きいと思います。そのため、うろたえているところや、弱いところは見せられない。そうしてひとり悩みを抱えて、苦しんでしまうパターンですね」

 そんな緊張の糸が、ソフィア先生の前ではプチンと切れて緩むのだろう。60代の男性経営者が何も話さずに、ただひたすら泣きじゃくったり、「死にたい」と漏らした50代の経営者もいたそうだ。

「でも、大事なことを成す人は、基本的に一人で決断しなくてはいけない。何かを全うしようとするからこそ孤独を感じるのです。そうそう、三角形を思い浮かべてみてください」

三角形の頂点は、線ではなくて点。トップが複数いることは、「あり得ないということ」だとソフィアさんは言う。

「三角形の頂点を極めると、周りを見回しても誰もいません。そんな孤独に飲み込まれず、逆に乗り越えていくことが、優秀な組織のトップになるということなんですね」

 つまり、孤独は経営者の勲章とも言えそうだ。恥ずかしげもなく経営者が言う「私、孤独なんですよ」。むしろあれは、自慢だったということらしい。(ライター・福光恵)

AERAオンライン限定記事