「総合職」内定までの道のり[2019年4月入社のケース](AERA 2018年7月23日号より)
「総合職」内定までの道のり[2019年4月入社のケース](AERA 2018年7月23日号より)
「総合職」の新卒採用(AERA 2018年7月23日号より)
「総合職」の新卒採用(AERA 2018年7月23日号より)

 商社の財産は人だ。数千人の応募学生から「未来の宝」を見極めねばならない。 5大商社の採用担当者が匿名だからこそ明かせた選考の裏側とは──。

【図表】三菱、三井、伊藤忠、丸紅「総合職」新卒採用の予定人数、採用方法などの一覧はこちら

*  *  *

A:採用選考の第1弾が終わって、ひと息ついたところです。総合職に限っても、今年も数千人のエントリーがありました。各社とも人事部総出でエントリーシート(ES)を読んだのではないですか。内定倍率はきっと、5社とも数十倍にのぼるでしょうね。

B:6月中旬に内々定とは「動きが遅い」と思われるかもしれませんが、5大商社はすべて経団連の「採用選考に関する指針」を守っていますから。新卒採用では3月1日に広報活動を開始、6月1日に選考活動を開始、10月1日に採用内定です。

C:フライングしている業種はたくさんあるようですね。最終面接で学生に聞いたところ、

「内定を4社持っている」

「わたしは5社」

 といった答えばかりです。

D:それでも、みんな「最後に御社だけ受けて就活を終わりにします」と言ってくれます。しかも、内定をもらった企業には「商社を受けます」と、きちんと話をしている。素直にうれしいです。

A:うちでは「御社が第1志望です」と言わなくてもいいですよ。実際、わたしがそうでした。

C:商社志望の学生は「途上国の生活を豊かにしたい」「自分でビジネスをつくりたい」といった抱負を会社説明会などで語ってくれて、頼もしいですよ。そのおかげもあって、

「入社した瞬間から活躍できるのではなく、下積みの経験を重ねてこそ上で活躍できる」

 と、口がすっぱくなるほどクギを刺さなければなりません。

A:人手不足で売り手市場ですから、人材の奪い合いは激しくなるばかりです。それなのに会社説明会から面接まで、とにかく長い。途中で商社への就活をやめてしまう学生は、きっといるでしょう。優秀な学生を取りこぼしているのではないか。この危惧は強く持っています。

D:3月以降、業界やうちの会社に対して学生が関心を途切れさせないように、学生を会社に呼んで社員と話をしてもらったり、「海外」「理系」といったテーマ別セミナーを開いたり、本当に「あの手この手」。合同会社説明会で講演する社員には、

「おまえ、他社に負けるなよ」

 と、厳しく気合を入れますよ。

次のページ