ロシアW杯に臨んだ日本代表23人の平均年齢は28.3歳と、過去5大会と比べ一番高かった。大会後に長谷部誠(34)、本田圭佑(32)らが代表からの引退を表明するなど、世代交代を迫られるなか23歳以下のメンバーが基本となる五輪代表監督の森保氏は適任かもしれない。

 ただ、指揮官に何が求められるかは冷静に考える必要があるだろう。日本への理解やコミュニケーション能力だけでいいのか。西野監督は、1次リーグ第3戦のポーランド戦でスタメン6人を入れ替え、0-1と敗れながらも他会場の結果に救われた。主力を温存したことが、結果的にはベルギー戦の好パフォーマンスにつながりその采配は英断と評価されたが、それは一歩間違えば1次リーグ敗退を招きかねないギャンブルに他ならなかった。

 カタールW杯で今大会以上の結果を求めるなら、個の台頭も必須になる。アタッカーで期待されるのは東京五輪世代である堂安律(20)だ。昨季はオランダ移籍1年目で9ゴールと結果を残したほか、その前のめりな性格はスター性も十分。早ければ9月の新体制スタート時から招集される可能性もあるだろう。

 19年1月には2大会ぶりの優勝が期待されるアジアカップが控え、6月に招待を受けている南米選手権に参加できれば、これ以上ない強化の場になるかもしれない。ベスト8に迫りながら、その壁の厚さも痛感したロシアW杯。4年後のカタールで悲願の8強入りを目指すなら、目先の結果にとらわれずに地に足を着けた確かな強化が求められる。(スポーツライター・栗原正夫)

AERA 2018年7月23日号