死刑執行を受けて記者会見した際の上祐史浩「ひかりの輪」代表=2018年7月6日午後0時4分、東京・霞が関 (c)朝日新聞社
死刑執行を受けて記者会見した際の上祐史浩「ひかりの輪」代表=2018年7月6日午後0時4分、東京・霞が関 (c)朝日新聞社

 松本元死刑囚の遺骨をめぐり、四女と「妻・三女陣営」が対立している。オウム元幹部の上祐史浩氏が本誌インタビューで「内紛」の真相を語った。

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 オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚の遺骨の行方に、日本中の注目が集まっている。

 松本元死刑囚は執行前、遺体の引き渡し先については、四女とする意向を示したとされる。四女は昨年11月に両親との相続関係を断つ申し立てが認められたと明かし、長らく教団からも離れた生活を送っている。

 四女は、代理人を務める滝本太郎弁護士のブログを通じて「指名を受けた私自身が大変驚きました。しかし、それは実父の最後のメッセージなのではないかと受け入れることにします」と表明した。ただ、遺骨を手元に置くことは「身の危険を感じる」として、海への散骨を希望しているという。

●妻・三女ら共同で異議

 それに異議を唱えるのが松本元死刑囚の妻と次女、三女、長男、次男だ。5人は上川陽子法相と東京拘置所長あてに遺体の引き渡しを求める要求書を提出。「(松本元死刑囚の)精神状態からすれば、特定の人を引き取り人として指定することはありえない」と主張した。

 三女は一部メディアのインタビューに応じ、母親(妻)が遺骨を引き取るべきだとした上で「父の神格化のために遺骨を利用することはない。後継団体があるから誤解が続く。解散してほしいとすら思う」と教団との関係を否定した。ただし、公安調査庁は妻と三女がオウム真理教の後継団体であるアレフに関与していたとみている。

 妻でも三女でもなく、教団や家族から離れた四女の名を挙げた松本元死刑囚の「意図」はどこにあるのか。彼女たちを間近で見てきたオウム真理教の元幹部で「ひかりの輪」代表の上祐史浩氏は、「麻原は詐病だったという前提ですが」と前置きした上で、こう語る。

「実は、宗教的なステージは妻や三女より四女の方が高い。麻原が三女に『今は(年長の)おまえの方が力が強いが、そのうち逆転する時も来るぞ』と言ったと四女から聞いたことがある。麻原は妻か三女のどちらかを選べば、二人とも自己主張が強いからトラブルになると考えたかも。実際に麻原が最後に接見したのは四女であり、麻原が死後の自分を四女に託したいと思った可能性はある」

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