米軍は12月13日の落下事故を受け、「最大限可能な限り普天間第二小上空を飛ばない」と防衛省と合意した。しかし、防衛省が1月7日から同校に設置した監視カメラで確認したところ、1月18日に3機、2月23日に1機が上空を飛んでいた。約束から1カ月ほどでの上空飛行。しかも「最大限可能な限り」の例外がこれでは、あまりに頻度が高すぎる。

 元防衛官僚で、2014~16年に沖縄防衛局長を務めた井上一徳衆院議員(希望)は、同校に監視員を常駐させる対応についてこう解説する。

「米軍から上空は絶対に飛ばない、という確約が得られないため、沖縄防衛局は監視を続けざるを得ないのだと思います。日米間の信頼が損なわれたままになっているのは非常に残念です」

 普天間第二小への窓落下事故の6日前、もう一つの「落下事件」が起きていた。普天間飛行場から約300メートル離れた「緑ケ丘保育園」で、円筒形の物体が屋根に落ちているのを職員が見つけた。落下物は高さ9.5センチ、直径7.5センチ、厚さ8ミリ、重さ213グラム。「ドン」という衝撃音に職員らは驚いた。

 だが、同保育園には今も、行政による監視員や監視カメラは置かれていない。米軍が、見つかった物体は米軍ヘリの部品であると認める一方、飛行中の機体から落下した可能性は「低い」と説明したためだ。

 その後、園には「自作自演」「ウソつき」「クソサヨク」などと誹謗中傷する電話やメールが相次ぐようになった。神谷武宏園長(56)はこう訴える。

「米軍機の落下物が私たちの保育園にも落ちたのは事実です。米軍が認めないだけで、置かれた状況は第二小と同じなんですよ」

 事件や事故が報道されても一向に状況が改善されないどころか、地元への誹謗中傷の呼び水にさえなる現実。宜野湾市内の学校関係者の中には、「そっとしておいてほしい」とメディアの取材を拒む人も出ている。

 同園は宜野湾署に「事故」調査の進捗を問い合わせているが、返ってくるのは「米軍の協力が得られない」との回答ばかり。神谷園長の嘆きは深い。

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