オフィスがあるのは東京・六本木のど真ん中。社内会議は、社員全員で近くの公園などを歩きながら行うこともある(撮影/植田真紗美)
オフィスがあるのは東京・六本木のど真ん中。社内会議は、社員全員で近くの公園などを歩きながら行うこともある(撮影/植田真紗美)

「俺についてこい」と独走するカリスマ型でも、周囲の顔色をうかがうのが得意技の調整型でもない、次世代型のリーダーが頭角を現し始めた。彼らは強い信念を持ちつつ、身近な存在として部下と一緒に走り、時には部下に甘え、ぶつかり合う。仕事を任せることで部下を育て、勝てる組織を作り上げている。

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 クレジットカードに対応したレジを置けない小さなお店でも、スマホのカメラでクレジットカードを写すだけでカード払いに対応できる。個人同士のお金のやりとりにもカードを使える。そんな全く新しい決済サービス「ONE PAY(現・ONEPAYMENT)」を昨年夏に始めたベンチャー企業「ワンファイナンシャル」のトップは、高校生だ。

 山内奏人(そうと)と、17歳。都内の進学校に通う高校3年生ながら、最高経営責任者(CEO)を務める。昨年10月には、投資ファンドなどから1億円の資金を調達して世間をあっと言わせた。

 新サービスは、銀行やカード会社、システム大手など業界の巨人が手がけてきた既存の決済システムに取って代わる可能性もある。山内は言う。

「お金は世界中の人々に関わることなのに、インフラ整備はまだまだ。デザインやプロダクトの力で誰でも気軽に、安く使える金融のプラットフォームを作りたい。自分が作ったプロダクトが世界中の人に使ってもらえるのは、大きな喜びです」

 初めてパソコンに触れたのは、6歳のとき。ワードやエクセルでは物足りず、9歳から図書館で本を読みあさり、プログラミングの独学を始めた。10歳からプログラム言語の一つ「Ruby」にのめり込み、11歳でプログラミングコンテストの最優秀賞を獲得。「天才プログラマー」と称された。

 だが、本人には違和感があった。12歳のとき、同じコンテストで敗退し、自分はプログラマーとしてはナンバーワンではないと痛感した。早くも別の道を探り始めた山内の人生を大きく動かしたのは、投資会社「イーストベンチャーズ」共同代表の松山太河だ。

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