国立大学も「倒産」するおそれ(※写真はイメージ)
国立大学も「倒産」するおそれ(※写真はイメージ)

 今後さらなる超長寿社会となる日本は、どのような変化を迎えるのか。若い世代の減少にともなって、大学教育に関しては、大学の位置づけそのものから見直されることになるかもしれない。専門家らは、未来をこう予測する。

 人口動態から日本の未来を予測したベストセラー『未来の年表』(講談社現代新書)で指摘されているように、18歳人口の減少によって私立大学はもとより、国立大学も「倒産」するおそれがある。特に人口規模(17万5千人)を維持できない地方では、地元の有名国立大学であっても消滅する可能性があるという。この未来を先取りするかのような現象も現れている。「大学通信」常務取締役の安田賢治さんはこう語る。

「地方の有名国立大学でも偏差値50前後で合格できる“穴場”の学部が多くなっている。その一方、都心の有名私立の文系は難易度が上がっている。5教科受験ができる学生なら、国立は狙い目です。今後は国立の『理系化』、私立の『文系化』が進むかもしれない」

 そして大学の多様化により、大学進学率は高くなるのではないか、と安田さんは予測する。

「実習を重視して即戦力を養成する専門職大学が、19年から開設予定です。すでにファッション、医療福祉、アニメーションなどの分野の学校法人が認可申請を出しており、短大や専門学校の需要を取り込もうとしている。将来的には、大学進学率が65%くらいまで上がることも考えられる。そうなれば、『大卒の価値』も変わってきます」

 もっとも、大学のシステム自体が抜本的に変わっている可能性もある。高校卒業後の18歳で入学して22歳で卒業するという年齢区分は崩れているかもしれない。評価、教育事業を手がける「IGS」の代表取締役で「2050未来教育研究所」の名誉所長も務める福原正大さんは言う。

「16歳から80歳までの人たちが学べる場として、大学を再構成したほうがいい。アメリカのように16、17歳から大学に行けるような『飛び級』制度を設けることは、国際競争力のある人材を育成するためにも不可欠。もちろん、一度働いてから入学し直してもいい。リカレント教育推進のためにも、産業界と大学が連携して人材育成できるシステムにするべきでしょう」

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