「格安」や「利便性」をうたいながら、その裏で消費者をないがしろにしていた3社。値段が高ければ高いほど、少しでもお得なものが欲しいし、一刻も早くクリックしなければチャンスを逃すと焦るが、「この会社、大丈夫?」とひと呼吸置く勇気を持ちたい (c)朝日新聞社
「格安」や「利便性」をうたいながら、その裏で消費者をないがしろにしていた3社。値段が高ければ高いほど、少しでもお得なものが欲しいし、一刻も早くクリックしなければチャンスを逃すと焦るが、「この会社、大丈夫?」とひと呼吸置く勇気を持ちたい (c)朝日新聞社
仮想通貨に関する相談件数(AERA 2018年2月26日号より)
仮想通貨に関する相談件数(AERA 2018年2月26日号より)

 自分も被害者になっていたかも。そう感じるような消費者被害事件が相次いでいる。当然、悪いのは事業者だが、被害者にならないために注意できることはないのか。

【図】2014年度の10倍以上!?仮想通貨に関する相談件数はこちら

 金融史に残る大事件となったコインチェックの仮想通貨流出事件。仮想通貨を巡っては、ハッキングはもとより詐欺やマルチ商法まがいのトラブルも激増している。国民生活センターによると仮想通貨関連の相談は毎年倍々の勢いで増え、2017年度は2月12日時点ですでに2040件。14年度の10倍以上に達した。

 仮想通貨に限らず、昨春の格安旅行会社「てるみくらぶ」の破綻や、年明けの「はれのひ」の破綻など、自分や家族も一歩間違えば被害者になったかもと思える事件が続発している。

 それらの事件で責められるべきは事業者だ。ただ、私たちはいまネットを駆使して、より「お得」で「便利」なサービスを探し出すことには長けている一方で、サービスを提供している会社自体については無頓着になってはいないか。一消費者が事業者の経営悪化やセキュリティー体制の不備にそうそう気づけるものではないが、一連の事件から得られる教訓があるとすれば……。

 東京商工リサーチ情報本部の原田三寛さんは、消費者が最低限注意すべき点を二つ挙げる。一つ目は、代金の支払いから商品・サービスを実際に受け取るまでの期間だ。

「前払いは事業者に消費者が融資するのと同じ。2年先に受け取るサービスのためにいま100万円払ってと言われた時、自分が『資金の出し手』として2年間その会社に融資できるのか冷静に考えたほうがいい」

 もう一点、注意すべきは広告・宣伝の派手さだ。今回、コインチェックはお笑いタレントを起用した派手なCMで顧客を集める一方で、セキュリティー対策を後回しにしていた。「てるみくらぶ」も同業者より極端に安い価格をアピールしていた。

「急成長を狙う企業は、派手な宣伝で顧客を一気に増やし売り上げを伸ばそうとしがちです。でも成長がいったん鈍化した途端に運転資金がショートし、倒産するケースも多い」(原田さん)

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