アラフォー世代、すなわち、就職氷河期世代の収入減が話題になっている。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、10年から15年にかけて、大卒者全世代のなかで、就職氷河期世代にあたる35~44歳のアラフォーだけ、世帯収入(月収)が下がっているのだ。


 
20~24歳で5200円、25~29歳で8700円、30~34歳で6400円、45~49歳で2200円、50~54歳で2万1100円増加しているのに対し、35~39歳は4300円、40~44歳は2万3300円の減少だ。

 東京大学の玄田有史教授(経済学)は、この問題にいちはやく着目し、編纂した『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』の中で、正規・非正規問題と、就職氷河期世代など世代間格差の問題を、背景のひとつとして指摘してきた。

「30代後半から40代前半は全雇用者の4割近くを占め、働き盛りです。さらに、本来なら、家庭を築き、住宅や子どもの教育など、消費も多い世代。そこにお金がまわっていない。日本の消費が停滞から抜け出せないのは道理でしょう」(玄田教授)

 連合総研では、16 年5月、30歳以上49歳以下の4大卒雇用者を対象に、3千人規模のアンケートを実施している。

 それによると、初職が正社員で転職なしの男性の場合、平均年収は680.6万円だが、初職が非正規雇用で次職が正社員だった場合、518.3万円、次職も非正規雇用(もしくは不明)だった場合は、368.5万円まで落ち込む。

「日本社会は、初職の影響を後々まで受けやすい。この調査で、就職氷河期世代には、それより上の世代と比べて、賃金や格差意識、幸福感などの面で断絶があることがわかっています。時代は変わって日本型の雇用が減り、以前は当たり前だったことが当たり前でなくなってきた。就職氷河期世代は、そうしたしわ寄せも受けている。上の世代は、『若いときは俺たちもつらかった』と考えがちですが、そんな人たちはある意味加害者の一部といえるでしょう」(玄田教授)

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