「以前はベテラン獣医師が新境地として学ぶパターンが多かったように思いますが、最近は若手医師が目立ちます」(澤村さん)

 漢方治療に欠かせないのが漢方薬だ。ヒト向けの中成薬(中国漢方製剤)の製造、販売を手掛ける「イスクラ産業」(東京都中央区)は13年以降、イヌ・ネコ専用の漢方処方を販売している。処方は用途に応じ13種類を開発。ネコには泌尿器の改善にきく「通淋(つうりん)」が人気という。ペット事業部の担当者が開発の経緯を語る。

「00年以降に血統書付きのイヌやネコのペットブームが起き、室内飼いなど家族同様に接する、親密な関わり方へと変化しました。そのペットたちがシニアに差し掛かる00年代後半から、ペットの病気や不調の改善に、高い関心を持つトレンドが生まれたと認識しています。当社は漢方の潜在ニーズもあると考え、12年にペット事業部を立ち上げ、商品開発を進めました」

 日本ペット中医学研究会主催のペット中医学(ペットの漢方)講座に参加し、一定の中医学(漢方)の知識がある獣医師を抱える動物病院に限定販売するのが同社の特徴だ。同社によると、13年1月に50病院でスタートした会員数は、現在322病院に膨らんでいる。

「ネコはイヌよりも漢方を服用させるのが難しいですが、服用してくれれば効果はイヌの倍とも聞きます。1週間ぐらいで改善を実感する飼い主が多いようです」(担当者)

※「NyaERA またたび」から再掲

AERA 2018年1月29日号より抜粋