ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 プロの金融マンとしてはあらゆる局面で、何がいかに過小評価されているかを見極めることが重要です。それさえ見つければ人に先んじてより有利にお金を投資することが可能です。例えば、ワインなどがそう。ロバート・モンダヴィが出てくるまでカリフォルニアワインなんて見向きもされませんでしたが、その品質の高さはわかる人にはわかっていました。チリも同様ですね。今だと、ギリシャや、イスラエルなど中東あたりに、ものすごくいいワインがあるのですが、まだ非常に安く買うことができます。

 本当に良いものならば、必ず皆から評価されるというわけではないのがマーケットの面白いところで、マーケットの参加者すべてが必ずしも「スマート」ではないということです。情報不足であったり、判断を間違えている人が大多数になったりすることもあって、過小評価が発生するということになるのです。

 考えてみると、世の中の過小評価は投資の世界だけの話ではありません。広島カープなどもその一つかもしれません。東京から新幹線で4時間もかかる「小さな町にある球団」がすごいはずはない、と思われていた時期もありますが、今や立派な全国区ですね。

 
 私の好きなクラシック音楽の世界では多分シューベルトがそうなんだと思います。素晴らしいメロディーの宝庫なのに、歌曲の小品を数多く手掛けたため、交響曲はベートーベンなどと比べると演奏機会も少なく、特に前半の交響曲(1~3番)あたりはまずライブではやりません。そのせいか、みなさんにはほとんど知られていません。

 歌手の玉置浩二さんも失礼ながらそれに近い感じがします。あの歌唱力はまじですごい。生で聞いたらもうたまらないのですが、妙なスキャンダルなどがあったせいか、「色物」的な見方をする方がまだいる一方で、プロの歌手からの評価はめっぽう高いという不思議な歌手です(なぜ紅白に出ないのか……)。

 我々のような仕事をしていると、こういう「過小評価」を探すのが癖になります。そのうちみんなが気づくようになると「今頃わかったかね、君!」と得意になるわけですが、そうなるとまた次の過小評価を探す、といった感じですね。え、今度は何かって!?

 それを自分で見つけるのが楽しいんですよ!

AERA 2017年12月18日号

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