福岡:それ、すごい話ですね。

葉加瀬:そのうち別の曲に替えられるだろうと思ってたし。

福岡:番組自体がこんなに続くなんて誰もわからなかったですもんね。

葉加瀬:それが、こんなに長く使ってもらえるとは。実は、ライブで何回もやっていた曲なんで手応えはあったんだよ。キューバのモントゥーノとブラジルのサンバっていう、あんまり相性のよくないリズムを無理やりアレンジで合わせてるんです。

福岡:エンディングテーマの「エトピリカ」は?

葉加瀬:こっちは東京の自宅で作り始めて、伊豆での合宿、その後ロンドンと長い旅をして、1年くらいかけて作った。小学生のとき図鑑で見て大好きになった鳥の名前。曲が大きく羽ばたいてくれそうだと思ってね。

福岡:情熱大陸のディレクターは、「エトピリカ」の流れるなか、どんな映像やコメントで番組をフィニッシュするのかを常に考えながら番組を作っています。実際の編集作業でも、どの部分から音楽をかぶせるのか、どのタイミングで絞るのかなど、徹底的に議論します。制作する側も大切にしている音楽ですね。

葉加瀬:人物ドキュメントを見終えるタイミングで流れるので、番組が曲に肥やしを与えてくれているんだろうな。

福岡:締めくくりとしてこの曲がなければ、情熱大陸じゃない。感動が何割増しにもなる。実は視聴者だけでなく、制作者までウルッときちゃうんです。

(構成/ライター・赤澤竜也)

AERA 2017年12月18日号より抜粋