世界はまるで「監視資本主義」 横田や三沢、沖縄には監視設備も (4/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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世界はまるで「監視資本主義」 横田や三沢、沖縄には監視設備も

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小笠原みどりAERA
米空軍横田基地に駐留する無人偵察機グローバルホーク2機。旅客機の2倍の高度から遠隔操作で地上のデータを収集し、送信できる。在日米軍司令部がある横田基地では、2009年から2年間、スノーデン氏が勤務していた(撮影/溝越賢)

米空軍横田基地に駐留する無人偵察機グローバルホーク2機。旅客機の2倍の高度から遠隔操作で地上のデータを収集し、送信できる。在日米軍司令部がある横田基地では、2009年から2年間、スノーデン氏が勤務していた(撮影/溝越賢)

インターネットを通じて筆者のインタビューに答えるスノーデン氏(写真:小笠原氏提供)

インターネットを通じて筆者のインタビューに答えるスノーデン氏(写真:小笠原氏提供)

小笠原みどり(おがさわら・みどり)/ジャーナリスト。1970年、横浜市生まれ。94年朝日新聞社入社、社会部記者として住基ネットや監視カメラ取材を牽引し、2004年退社。現在、カナダ・クイーンズ大学大学院博士課程に在籍し、識別技術と暴力の関係を研究。16年にNSAの内部告発者エドワード・スノーデン氏に単独インタビュー。著書に『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』(毎日新聞出版)など(写真:本人提供)

小笠原みどり(おがさわら・みどり)/ジャーナリスト。1970年、横浜市生まれ。94年朝日新聞社入社、社会部記者として住基ネットや監視カメラ取材を牽引し、2004年退社。現在、カナダ・クイーンズ大学大学院博士課程に在籍し、識別技術と暴力の関係を研究。16年にNSAの内部告発者エドワード・スノーデン氏に単独インタビュー。著書に『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』(毎日新聞出版)など(写真:本人提供)

 ネットや携帯電話に残される個人情報は「ビッグデータ」と呼ばれ、私たちの行動の先を読み、次に何かを買わせるために瞬時に使われる。グーグルで一度「シチュー鍋」と検索すれば、シチュー鍋の広告が何度でも閲覧画面に出るのはそのためだ。私たちの個人情報がなぜこれほどまでに狙われるのか。それは私たちの購買意識を操ることができるからだ。

●「集団的取り組み必要」

 モノのインターネット化(IoT)や人工知能(AI)は、この意識操作の範囲をさらに押し広げる。ロボット掃除機は家の広さや家族構成を分析し、自動運転車はあなたの訪問先を送信する。データを集めた企業は私たちを次の商品、次の行動へと誘導する。こうして個人の生活を監視することで利益を上げる市場経済を、米ハーバード大学ビジネススクールのショシャナ・ズボフ名誉教授は「監視資本主義」と呼ぶ。技術はいつの時代も、もっともうける手段として発達した。デジタル技術を駆使して一人ひとりを監視することが、いまや手段になった。私たちの同意なしに。

 NSAが築いたデジタル監視網の背景には、戦争と資本主義の実権を握る者たちの利益の一致がある。楽しい情報にあふれるネットと便利なデジタル機器には、政治的にも経済的にも私たちを最大限に利用し、操作する仕掛けが急速に忍び込んでいる。そして、楽しさと便利さによって抵抗をそぐ仕掛けも。

 だが、このままデジタル技術を監視の場にしてしまっていいのか。ズボフ名誉教授は言う。

「技術に抵抗できないと思うのは、技術信仰に毒されたイデオロギーでしかありません。すでに多くの人々が監視をやめさせたいと思っている。必要なのは集団的な取り組みです」

 通信の秘密を守り、個人を監視させない法制度に向けて、議論を始める時だ。(ジャーナリスト・小笠原みどり)

AERA 2017年12月11日号


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