若者が感じる孤独の正体は…(※写真はイメージ)
若者が感じる孤独の正体は…(※写真はイメージ)

 座間9人殺害事件で浮かび上がった若者の孤独。その正体を、白梅学園大学子ども学部教授の増田修治さん(59)に聞いた。

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 孤独の正体は「自分は意味のない存在だ」という「不全感」だと考えます。彼らは「そのままでOK」と認められたことがありません。「学校に行けるといいのに」「勉強すればいいのに」と「もっとこうすれば」を突き付けられ、クリアできない自分を「ダメな人間」と感じる。それが不全感につながり孤立してしまう。

 不全感の形成は、小学生から始まっています。ある小学5年生の男の子は、母親の財布からお金を盗み仲間にジュースなどをおごることで、グループのリーダーになりました。他者をコントロールすることで得られる「全能感」を求めたのです。これは、強い不全感の裏返しだといえます。

「おとなしくていい子」と言われる子たちも、不全感を抱きがちです。学校では「中間層」。「いい子でいて」と普通を求められながら、「もっとできないの?」と普通を否定される。しかも、成績上位者や問題のある子はかまってもらえるのに、放置されやすい。この「中間層」の孤独を大人は注視すべきでしょう。

 座間事件では、加害者と被害者の両方に不全感があったのではないか。だから、磁石で引かれるように出会ってしまったのかもしれません。

(構成/ライター・島沢優子)

AERA 2017年12月4日号より抜粋