C:自分が病院で緩和ケア病棟の立ち上げに携わった医師だから言うわけではありませんが、厚労省が、さも自宅で最期を迎えるのが一番いいように宣伝していることには少々疑問を感じますね。どこの緩和病棟もそうでしょうけど、「訪問診療と家族のサポートで頑張ってきたけど、やっぱり家族の負担が大きすぎた」という理由で入棟を希望される患者さんは多いんです。最先端の高度医療を受けたいと思っても、医療費適正化を理由に厚労省は在院期間を短縮するよう指導しているじゃないですか? こうした方針は、誤解を承知で言わせてもらうと、「独り身の老人は家で孤独死しろ」と言っているようなもの。

D:私は地方の病院が開設した在宅療養支援アパートで介護福祉士として末期がん患者さんや神経難病の患者さんの介護を行っているんですけど、在宅と緩和病棟の中間みたいな立ち位置なので、在宅復帰されたけどまた戻ってきたり、入居されているけど頻繁に自宅に帰ったりする患者さんも多いんです。要は、患者さんや家族にいくつもの選択肢が残されていることが重要だと思う。

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