──多くの方を看取ってきた皆さんはどんな死に方が「いい死に方」だと思いますか?

C:やはり、家族や友人に囲まれながら最期を迎えるというのが、一番だと思いますね。場所は、自宅でも病院でも、どちらでも構わないと思う。

B:私はさらに、その人らしく死ねるのがベストだと思います。最近も末期の乳がん患者さんを看取らせてもらったんですけど、その方はお風呂が大好きだったんですね。ただ、入浴は血中の酸素飽和度を下げるので、呼吸が苦しくなるなど体への負担が大きい。だから、病院だと患者さんをお風呂に入れないんですけど、「最後は好きにさせてあげたい」という家族の意向もあって、毎日のように私たちの介助でお風呂に入ってもらったんです。最後は雪が降った日で、「雪の日もお風呂に入れてうれしい」と喜んでいたのを覚えています。明らかに病状は悪かったのに、その日は珍しく深夜まで饒舌に家族とお話をされていました。その翌朝に息を引き取ったんです。これは在宅でしかできない死に方だなと印象に残っています。

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