公開中の「ブレードランナー2049」では、主演のライアン・ゴズリングと素手で殴り合うシーンをスタントなしでこなした。ゴズリングによれば「朝8時からの撮影でみんな眠そうなのに、ハリソンだけ元気いっぱいでスタジオに入ってきた」。しかも一度はゴズリングの顔面に本当にげんこつをくらわせてしまい、おわびのスコッチのボトルを手に楽屋を訪ねたというおちゃめなオチまでついてくる。

 愛想が悪いわけではないけれど、不必要に笑うことはしない。

「自分がどんなふうに記憶されたいかって? 息子と娘たちの記憶に残ればそれで十分だよ。人間は生まれて、生きて、死ぬ。そういうものだろう」

 ハリウッドスターにならなくても、きっと同じ人生観で生きていた。そう思わせる堅実さが垣間見えた。(ライター・鈴木あずき)

AERA 2017年11月13日号