真船:でもそういう人って実生活では破天荒ですよ。

磯山:確かに。職場でピンチの時にかばってもらうと、ポーッとしちゃうこともあるけれど、休日になると「何であの人をいいなんて思ったんだろう」って。スキー場で出会った人と東京で会う感覚? 恋愛に発展する機会は多いけれど、だからといって人生お預けするかどうかは、別の話ですよね(笑)。

真船:制作の現場って、ずっと一緒にいるし、極限状態や危機的状況に何度も陥る。そんなときこそ「人の本質」が見えるんですが、そこが魅力的だと、すぐ好きになっちゃう。

●自分しか描けない世界

磯山:付き合いはオープン?

真船:私は通勤とか一緒にしちゃったりして、すぐバレます。逆に別れたときは周りに気を使わせますが(笑)。最近、磯山さんがプロデューサーだった「池袋ウエストゲートパーク」を改めて見てみたのですが、長瀬智也さんや窪塚洋介さんが、死ぬほど格好いい。

磯山:そうなの。現場行くたびに、こんな素敵な男子に囲まれる職業が他にあるだろうか! と思ってた。しかも自分が仕事をしたい人に出演交渉ができる。オファーするのは自由だし。あの頃は、綺麗な男子に囲まれていて、一日が早かった。だから、仕事を辞めるのをやめたのかも(笑)。

真船:確かに。憧れの芸能人を近くで見られる幸せはありますよね。テレビ制作と違って、漫画を描くのは孤独な作業。

磯山:漫画をドラマ化する機会は増えていますが、選ぶ基準は「社会性がある」こと。ドラマ化する場合、脚本家とかキャストの方とか関わる人が非常に多い。そして本の基本的なテーマに納得してくれる人が多いと番組もうまくいって視聴者も増える。「ドラマ化する意義がある作品」かどうかが重要です。

真船:私の描いた漫画、社会性があるのでしょうか?

磯山:ある。だからこそ、自分で意義を見つけて売り込み、絶対に地上波でオンエアしてほしいです!

真船:わかりました。自分じゃなきゃ描けない世界があるし、テレビ業界を知ってもらうためにがんばります。

(構成/ライター・本山謙二)

※注1:磯山晶『プロデューサーになりたい』(講談社)。1997年に坂井真紀主演でドラマ化(TBS)、第35回ギャラクシー賞奨励賞受賞

※注2:2016年に黒木華主演でドラマ化(TBS)。原作は松田奈緒子『重版出来!』(小学館)、17年小学館漫画賞(一般向け部門)受賞。舞台はコミック誌編集部