磯山:それはそれは(笑)。でも最近、働き方改革で深夜の仕事って減ってないですか?

真船:はい。私が制作局に異動したころ「早く帰れ」に変わったみたいです。漫画でもボロボロになったADを描いてはいますが、「不眠不休のド根性系」ではない部分を表現するのは難しかったです。

●女性の登用は局による

磯山:働き方改革後のテレビ局の描き方って、難しいかも。私がADをしていた時代からそうだけど、ディレクターよりも先に帰るのって気を使いますよね。

真船:自分もコートを机に置いて、いるように見せてから、「先輩コンビニ行きますけど、欲しいものありますか?」と小芝居をして帰るとか……。

磯山:「早く帰るキャラ」と見なされますよね、最後までいないヤツだと。番組でも「途中までいた優秀な人」より「途中から入ってきて最後までいた(それほど使えなかった)人のほうが「仲間だ!」ってなりやすい。男社会だし。

真船:最近は女性のADも多いですよ。男性はすぐに辞めて女性のほうが長く残ることも少なくない。

磯山:確かに裾野は広がってきたかも。会社の役員クラスに女性が少ないというだけで。女性の昇進を率先して行う会社じゃないと、現実は変わらない。局によっても考え方が違うし。私が思うテレビ東京さんは、番組制作を楽しむ会社というイメージです。タイトルも楽しそう、「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」とか、振り切れてる! 選挙報道やオリンピックに対する局の自由な姿勢が、はっきりしていてカッコいい!と思います。ところで本を出すときの肩書は、現役テレビ東京局員?

真船:はい。

磯山:漫画の発売が社内に知られると、逆にみんな怖がって、優しく接してくるかも。

真船:なるほど。テレビ東京の裏側を全部漫画に描いたことは、知れ渡っています。

磯山:だからこそ、煙たがる人もいるかもですね。自分のことをこういうふうに描くなんてどうかと思う、とかね。私なんて漫画描かなくなって10年以上も経っているのに、25年くらい前に描いたものに対してチクチク言う人は今もいる。でも、表現ができることは素晴らしい。しかも出版できるんだから。普通はブログで終わっちゃうんだよ。

真船:「あいつは漫画を描いた」と局内で覚えてもらえたので、結果オーライかな。

●恋愛の機会は多いけど

磯山:職場での出会いはある?現場の人って、トラブルになると逆にアドレナリンが出たりする。臨機応変に対応している人って格好よく見えるよね。

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