

テレビ局の現役社員ながら、自らの仕事を漫画化、出版した女性たちがいる。TBSの磯山晶さんとテレビ東京の真船佳奈さん。なぜ漫画を描いたのか?テレビ制作現場は本当に華やかなのか? セキララに語り合った。
【『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』のイラストはこちら
* * *
真船:磯山さんが描いた『プロデューサーになりたい』(※注1)は会社に内緒で執筆を?
磯山:内緒ではないけれど、正式に報告したか定かではない(笑)。あまりに仕事が合わなくて、局を辞めようと思ったけど転職先がない。こっそりと漫画誌に応募したら、賞をいただいたんです。
真船:それはすごい。
磯山:編集者に「仕事は?」と聞かれたので「テレビ局のADです」と答えると、「その生活を漫画にしたら」と。それが連載となり、本になりました。
真船:私は、入社3年目で制作局に異動し、番組内の挿絵やキャラクターデザインを手掛けていたんです。この『オンエアできない!』はペン入れまでは直筆で、細かいデジタル作業は、SNSで見つけたアシスタントにお願いしました。
磯山:私が昨年、編成で携わった『重版出来!』(※注2)のときに驚いたのは、「背景は地方在住のアシスタントに描いてもらっている。会ったことがない」と漫画家さんが言っていたこと。
真船:時代です。番組制作で必要な調査も、ついついネットに頼っちゃう。
●夜通しでどんぐり拾い
磯山:私が入社した時代はまだ、ネットがなかったので。調べものは国立国会図書館でした。
真船:国立国会図書館は、今も利用します。あと、大宅壮一文庫とか。週刊誌のコピーを抱えた人を見ると、「ネタ探しだな。ADだな」とわかる。
磯山:今は検索すると情報はすぐに出てくる。確かに便利だけど、出てくる情報は同じ。そこから「差をつける」ことが大変なんだろうなと。
真船:リサーチをネットだけで済ませるようではダメですね。ADになってすぐ担当した「短かすぎ鉄道」という企画。駅数が少ない路線を見つけて、その駅周辺で面白い番組を作れ、と。5駅しかない場所で2週間、これでもか、と思うぐらい聞き込みをしました。その意味ではまだ、情報は足で。「ADど根性物語」は変わっていないかも。
磯山:番組を作っていると「〇〇が足りない」「すぐに調達してこい!」ということがよくあります。そんなとき、アマゾンやドン・キホーテはすごい味方。すぐに届くし(笑)。
真船:確かに。漫画でも描きましたが、翌日までにどんぐり600個を用意しなくてはいけなくなった。そのときは、近くの公園で夜通し、拾いました。