B:投信だとやっぱり、インドをはじめとした新興国のIoT(モノのインターネット)やAIを組み込んだ商品ですね。旬なテーマなので、お客さんの食いつきがいいんですよ。

D:銀行の窓口では正直、あまり投信を薦める機会がないんですよね……。すでに投信を保有している人には投信を薦めますけど、投資をしたことがないという方は極端にリスクを避けたがります。なので、そういうお客さんにはデュアル債をお薦めするケースが多いです。

──どういう商品ですか?

D:正式にはデュアルカレンシー債と言って、利払いと償還が異なる通貨で行われる債券になります。一般的なのは、日本円と豪ドルのデュアル債で、利払いは円で行われるけど、償還時には豪ドルで行われるんです。当然、償還時までに円高が進むと元本割れのリスクがあるのですが、数円程度の円高リスクをあらかじめ盛り込んでいるので、低リスクで年利2~5%という利率。償還期限が1年と短い商品も多いので、手軽な外貨預金代わりに購入される方は多い。

B:債券は投資をしたことがない人には非常にお薦めしやすい商品ですよね。低リスクで銀行に預けるよりも利率はいいし、何より償還を迎えたタイミングで新たな商品を薦めやすい。新人の頃は上司から「まず、日本国債や外国債を薦めろ」と言われました。

──現場ではどうやってお客さんに金融商品をお薦めする?

A:どの金融機関も同じだと思いますけど、投資歴や投資額、どれぐらいの資産の増減まで許容できるか?といった項目が並んだアンケート用紙に記入してもらって、それを参考にお客さんに合った商品を紹介するかたちです。リスクを取りたくないという人には、国債や債券の比率を高めたファンドラップをお薦めして、ある程度のリスクを許容できる人には外国株や新興国の債券、投信などをお薦めするケースが多いかも。

──扱っているさまざまな金融商品のなかから、どうやって選び出して紹介している?

A:正直、扱っているすべての商品のことを熟知しているわけじゃないので、どうしても得意分野の商品やそのとき旬な商品のなかから、要望に合ったものを2~3紹介するのがほとんど。

C:私は独立系ファイナンシャルアドバイザーなので、証券会社などの縛りはなく、あらゆる商品を扱ってもいいんですけど、今や国内の投信だけで6千本を超えますからね……。

B:だから、お客さんの要望に合った商品がその場で見つからなかった場合には、投信のサポートセンターに電話して相談し、後日改めて商品の説明に伺うことも多いですね。

D:私の場合は、完全に銀行の窓口業務の担当なので、定期預金の解約に訪れた人に、「その一部を運用してみてはいかがでしょうか?」と提案する程度。一応、勉強はしていますけど、実際に投信を売ったのは数える程度です。

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