金融商品をリンゴに例えるとわかりやすい。積立額が1万円の場合、リンゴが100円の時は100個買えるが、価格が50円に下落したら200個も買える。価格が回復すれば、下落時に買い込んだ200個のリンゴは2万円になる。たとえ70円までしか戻らなくても、1万4千円分になるので十分利益を出せるのだ。

 積み立て投資でも同様で、途中で下落するほど量が買えるので、後から少し回復するだけで利益を出せるというわけだ。
「多くの人が『下がるのが怖い』と投資を始められずにいますが、量の視点を持って積み立て投資をすれば、どんなに下落しても怖くありません。元の価格に戻らなくても十分利益は出せるのです」(同)

 もうひとつの例を見てみよう。1万円の金融商品が5年後に2千円まで下落し、10年後に元の1万円に戻ったケースだ。元の価格に戻っただけなので、一括投資であれば1円も増えていないことになる。しかし、月1万円の積み立て投資をしていれば、なんと241万円。倍以上に増えているのだ。暴落局面で量を買い込んだ後で、価格が大きく上昇した効果である。

「積み立て投資の成果は『価格』と『量』の掛け算で決まります。価格を増やすには上昇すればいいし、量を増やすには下落する必要がある。要するに積み立て投資は上がっても下がっても利益を出せるのです」(同)

 投資を始めた途端に下落したとしても悲観する必要はなく、むしろ喜んでいいという。つまり、いつ始めても大丈夫ということなのだ。

●投資は「待てるお金」で

 ただし、積み立て投資で利益を出すには条件もある。途中の下落は利益の源泉にはなるが、下落している真っ最中に換金すると多くの場合、損が出てしまうのだ。利益を出すには、下落局面を終え上昇している局面で換金する必要がある。

 このため、FPの横山さんは、投資する場合も貯蓄は必ず必要だとアドバイスする。

教育費など使う時期が決まっているお金を投資すると、換金の時期と金融危機が重なる可能性も出てきます。数年待てば相場が回復し利益が出る可能性は十分あるので、投資は『待てるお金』で行うのが鉄則です」

次のページ