アメリカ人は日本人ほどリスク投資に抵抗がないともいわれるが、それだけではない。アメリカの個人金融資産がここまで増えた背景のひとつに、個人が投資信託への積み立て投資で老後に備える「確定拠出年金」が普及したことがあるという。

「日本は投資を怖いと感じる人が多いですが、日本人こそ資産運用が必要です」(星野さん)

 投資は預貯金と違って価格が変動するリスクがある。大きく増やせる期待がある一方で、大損する可能性もあるのだ。万一、株や投資信託を買ったとたんに、リーマン・ショック級の金融危機が起こったりすれば目も当てられないし、怖いと感じる人がいても当然だ。

「毎月金額を決めて、一定額を投資信託などに積み立てていく『積み立て投資』なら、いつ始めても大丈夫です。しかも勉強したり手間をかけなくても、誰でも簡単に実行できて損をしにくい仕組みなのです」(同)

 それを裏付ける興味深い試算がある。1万円の金融商品があるとして、これに10年間投資するとしよう。この金融商品は投資を始めた直後から価格が下がり続け、7年目には2千円まで大暴落してしまった。最後の3年で少し持ち直し、なんとか投資時の半分となる5千円まで回復した。

●下落も上昇も利益に

 この金融商品に120万円を一気に投資していたら、10年後の価値は半分となる60万円だ。10年後には投資したことを激しく後悔することだろう。

 ところが、同じ120万円の投資でも、月に1万円ずつ積み立てていたらどうだろう。なんと10年後には139万円に増えているのだ。価格は半分まで下がっているのに、なぜ利益が出るのか。

「投資では価格ばかりに注目しがちですが、積み立て投資では『量』の視点も重要です。価格が下落すれば同じ金額でも多くの量を買えるので、下落局面で量を積み上げていくと最後に少し回復しただけでも利益を出しやすくなります」(同)

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