松尾スズキの「面倒力」の虜に… 戸部田誠がエッセイが好きな理由 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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松尾スズキの「面倒力」の虜に… 戸部田誠がエッセイが好きな理由

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戸部田誠AERA

ライター・戸部田誠さんの読書遍歴は?(※写真はイメージ)

ライター・戸部田誠さんの読書遍歴は?(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は、ライターの戸部田誠さんです。

*  *  *
 エッセイが好きだ。有名・無名問わず、エッセイが面白い人に惹かれる。たとえば、松尾スズキを最初に知ったのも、劇作家としてではなく、エッセイストとしてだった。彼のユーモアあふれる語り口の中に、反骨と真理を紛れ込ませる文章の虜になった。『大人失格』に出てくる「面倒力」はいまだに折に触れて思い出す。朝日によって睡眠が妨げられていたが、「面倒くさい」からカーテンを数カ月買わなかったという話から、「自主規制」と「面倒くせえ」はほぼ同義だと展開し、「面倒力」との戦い方を通して人間の不合理さを描写する。日々僕が苛まれていたのは「面倒力」の脅威なのだとようやく分かったのだ。

 エッセイは、自分と同じ悩みや思考を持つ人がいる共感と、自分とはまるで違う発想や嗜好を持つ他者がいるという当たり前の発見を同時に与えてくれる。何に対しても「面倒力」で続かない僕だけど、エッセイを読むことだけはやめられない。(終)

AERA 2017年8月28日


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