趣味って、すでにある価値観の中で動くものだと思っているんです。人よりたくさんコレクションがあるか、人より知識を持っているかで競い、自分の趣味について熱く語ったり自慢したりする。同好の人がたくさん必要な、団体行動の世界ですよね。そういう行動が好きな人が「老後、趣味がないと寂しいぞ」とか言うんでしょうが、僕は団体行動が昔から好きじゃないから趣味は持たなくていい。

 わざと変なことをする人に憧れ、なるべく人とは違うことをしようと思い続けてこうなった。仏像も小さい時から好きですが、「そんな小学生、ほかにはいないよな」という意識がどこかにあったんだと思います。

 世間から浮いていることでしか自分を表現できなかったとも言えるし、「自分はこれが好きです」と堂々と言える趣味人を見ると自信があってうらやましいと思う半面、浅い趣味の人に対しては「もっと突き詰めたすごい人もいるのにな」とも思ってしまいます。自分を客観的に見て滑稽な存在だと思っているから、趣味にのめり込めないのかもしれません。だから自分は団体には所属せず、マイルールを貫こうと思ってやっています。時代遅れとかダサいとかと言われようとも、あえてそこがいいと思い続ける。そして、時には叱られるギリギリのところまで覚悟をもって突き詰める。

「ゆるキャラ」も言い始めた当初は自治体の人たちからすごく叱られましたし、お寺巡りもこの格好でするものだからやっぱり住職から叱られたりしましたね(笑)。だからこそ、面白いんじゃないかと思ってやっています。その点、趣味は純粋ですから、そういう突き詰め方は絶対しませんよね。今は変な人が流行(はや)らない時代ですが、いつの日か価値観がひっくり返るような「マイブーム」が生まれることを期待しています。

(構成/編集部・福井洋平)

AERA 2017年7月31日号